# EC2 の接続手段を整理する:SSH と Session Manager の違い
EC2 を運用するとき、最初の接続手段として SSH を思い浮かべることは多いです。
ただし、AWS の設計として「安全に管理したい」「公開ポートを減らしたい」「鍵配布を避けたい」という要件があるなら、まず検討したいのは AWS Systems Manager Session Manager です。
この記事では、SSH と Session Manager を宗教論ではなく、運用・監査・障害対応の観点から整理します。
結論:安全性と運用性を両立したいなら Session Manager を優先したい
先に結論を書くと、次のような要件があるなら Session Manager がかなり有力です。
- EC2 を安全に管理したい
- 22 番ポートを公開したくない
- SSH 鍵の配布をやめたい
- 踏み台サーバーを減らしたい
- 接続履歴や監査性を高めたい
つまり、管理のために SSH を公開する前に、そもそも公開不要で入れないかを考えるべきです。
なぜ従来の SSH 運用は重くなりやすいのか
SSH 自体は一般的な手段ですが、運用の現場では次のような論点が増えがちです。
- 22 番ポートの開放管理
- 接続元 IP 制限
- 鍵ペアの配布と回収
- 踏み台サーバーの構築と保守
- 権限棚卸しや監査対応
たとえば一時対応のつもりで 22 番を広く開け、そのまま残る事故は珍しくありません。接続のための仕組みが、そのままリスク要因になりやすいわけです。
Session Manager の役割
Session Manager は、Systems Manager の機能の一つで、EC2 などへ安全にシェル接続するための仕組みです。
主な利点は次の通りです。
- SSH ポートを公開しなくても接続しやすい
- 踏み台サーバーを減らせる
- 鍵配布を省ける
- IAM ベースでアクセス制御しやすい
- セッションログを残しやすい
このため、運用の安全性と管理性を同時に上げやすいのが強みです。
運用・監査・障害対応で比較する
特に Session Manager を選びやすいのは、次のような場面です。
- プライベートサブネットの EC2 を管理したい
- なるべくインバウンドを閉じたい
- 複数運用者の権限を IAM で整理したい
- 監査証跡を残したい
- 踏み台の運用負荷を減らしたい
比較表で整理する
| 観点 | SSH 中心の運用 | Session Manager |
|---|---|---|
| 22 番ポート | 管理が必要 | 不要にしやすい |
| 鍵配布 | 必要 | 省きやすい |
| 踏み台 | 必要になりがち | 省略しやすい |
| 権限制御 | OS / 鍵ベースに寄りがち | IAM 中心で整理しやすい |
| 監査 | 別途設計が必要 | 組み込みやすい |
この表で見ると、Session Manager が単なる代替手段ではなく、運用設計そのものを軽くする選択肢だと分かります。
踏み台不要・鍵不要の価値
実務で特に効くのは、この 2 つです。
踏み台不要
踏み台サーバーを置くと、そのサーバー自体のパッチ、監視、アクセス管理が必要になります。つまり、管理用のサーバーをさらに管理する仕事が増えます。
鍵配布不要
SSH 鍵の配布は、人の増減がある組織ほど重くなります。
- 誰が秘密鍵を持っているか
- どの端末に保存されているか
- 退職や異動時に確実に回収できるか
このあたりを曖昧にすると、後から非常に面倒です。
試験での見分け方
AWS 認定試験では、次のようなキーワードがあれば Session Manager を先に疑うべきです。
- 安全に管理したい
- 公開ポートを減らしたい
- 鍵管理をなくしたい
- 踏み台を使いたくない
- 監査しやすくしたい
たとえば「管理アクセスを安全に提供しつつ、インターネット公開を避けたい」と書かれていれば、かなり本命です。
導入時の��意点
もちろん、Session Manager を使うには前提もあります。
- Systems Manager Agent の動作
- 適切な IAM ロール
- 通信経路の確保
- ログ保存先の設計
ただし、これらを踏まえても、22 番を開けて鍵を回すより整理しやすいケースは多いです。
まとめ
EC2 の管理手段として SSH は一般的ですが、AWS では常に最初の正解とは限りません。
- 公開ポートを減らしたい
- 鍵配布を避けたい
- 踏み台をなくしたい
- 監査しやすくしたい
こうした要件があるなら、Session Manager を先に考える方が自然です。
22 番を開ける前に、公開せずに安全に管理できる方法がないかを見る。この順番を持っておくと、設計判断がかなり安定します。
